
※登場人物は全て仮名です。
「ティッシュ5箱パックが届いた」
友人のインスタストーリーを見た瞬間、私の手からスマホが落ちそうになった。
2025年1月、34歳にして初めて知った衝撃の事実。ふるさと納税で日用品が貰えるらしい。いや、知ってはいた。でも本気で調べたことなんて一度もなかった。
だって私、5年間ずっと「地方の特産品を応援する制度」だと思ってたんだもん。
私がふるさと納税に抱いていたイメージはこうだ。
北海道の海鮮、熊本の馬刺し、山形のさくらんぼ。要するに「普段は買わない高級食材をお取り寄せする、ちょっとリッチな制度」。
だから毎年12月になると、夫が「今年もふるさと納税やっとくわ」と言いながらサイトを開くのを横目で見ていた。彼が選ぶのはいつも牛肉。3万円の寄付で届く黒毛和牛。
私は内心こう思っていた。
「いやいや、普段の食費で十分やん。わざわざ手続きしてまで牛肉って」
そして自分はというと、毎週末イオンで2リットルの柔軟剤を2本買い、トイレットペーパー12ロールを抱えて駐車場まで運んでいた。
あの日、友人が投稿したのはティッシュだけじゃなかった。
洗濯洗剤の詰め替えパック20個セット。トイレットペーパー96ロール。食器用洗剤12本。バスタオル4枚セット。
全部、ふるさと納税の返礼品。
コメント欄には「毎年これで日用品の買い出しゼロになる」「ドラッグストアで重い荷物持つのバカらしくなった」と書いてあった。
私の脳内で何かが弾けた。
待って待って待って。
じゃあ私が毎週末、汗だくになってイオンの駐車場を往復してたのは何だったの。
その夜、私は過去5年間の日用品支出を計算してみた。
洗剤とティッシュとトイレットペーパーだけで年間約6万円。タオルや掃除用品を入れたら8万円は超える。
一方、我が家のふるさと納税の上限額は年間7万円。
つまり。
理論上、私は5年間で40万円分の日用品を、実質2000円の負担だけで手に入れられたはずなのだ。
それなのに私は何をしていたか。
毎週末、夫が「俺、牛肉選んどいたで」と得意げに言うのを聞きながら、スーパーで398円の柔軟剤を2本カゴに入れていた。
翌日、私は会社の先輩に恐る恐る聞いてみた。
「あの、ふるさと納税で日用品って、みんな普通に貰ってます?」
先輩は笑いながら言った。
「当たり前やん。うちなんて洗剤とティッシュだけで1年分確保してるで。だってドラッグストアで買うより質良いし、玄関まで届くし、実質タダやん」
そうか。
みんな知ってたんだ。SNSで「ふるさと納税おすすめ」って流れてくるのは、本当に得だからだったんだ。
私はずっと「流行に乗せられてる人たち」だと思っていた。でも実際は、私だけが情報弱者だった。
冷静に振り返ると、私が5年間も気づかなかった理由は明確だった。
1つ目。夫に丸投げしていたこと。彼が選ぶのはいつも食材だから、日用品という選択肢が視界に入らなかった。
2つ目。サイトをちゃんと見なかったこと。トップページには確かに「日用品」というカテゴリがある。でも私は「特産品」しか見ていなかった。
3つ目。節約=我慢だと思い込んでいたこと。ふるさと納税は「贅沢な制度」だと勝手に決めつけて、普段使いの消耗品を選ぶという発想自体がなかった。
2025年2月、私は初めて自分でふるさと納税サイトを開いた。
検索窓に入力したのは「洗剤」「ティッシュ」「タオル」。
画面にずらりと並ぶ返礼品を見ながら、私は5年分の後悔を噛み締めた。
でも同時に、こうも思った。
気づけて良かった。まだ30年以上、人生は続くんだから。
今年の私の作戦はこうだ。
寄付額の7割を消耗品(洗剤、ティッシュ、トイレットペーパー)に割り当て、残り3割で普段買わない上質なタオルやキッチン用品を選ぶ。
これで週末の買い出しが劇的に楽になる。浮いた時間で、子どもと公園に行ける。
そして何より。
夫に「今年からふるさと納税、私が選ぶわ」と宣言した時の、あの驚いた顔。
ちょっとした復讐の気分を味わえた。
もしあなたが今、毎週末スーパーで重い日用品を抱えているなら。
もしふるさと納税を「高級食材を取り寄せる制度」だと思っているなら。
一度サイトを開いて、検索窓に「洗剤」と入力してみてほしい。
そこには、あなたが5年後に「何でもっと早く気づかなかったんだろう」と後悔する未来を回避するヒントが詰まっている。
私みたいに、2030年になってから「10年間の日用品代、返して」と泣かないために。
今日、たった5分だけ調べてみませんか。